逃げたっていいんだよ
ずっと逃げて、逃げて、逃げて、ここまでやってきた。
後ろにはあともう一歩分だけ逃げ先が残されている。
それは深い穴の中だ。
いざとなればそこへ飛び込もうと思っている。
本当に逃げ癖がついていると思う。
そしてそれは本当によくないタイプの逃げ癖であると感じる。
私には人を傷つけて、そのまま逃げてしまったような経験が何度かある。
小中学生のころだけど、それらは忘れることを許さないと言わんばかりに、私の心に刻み込まれている。
もう二度と誰も傷つけるものかと思う。
もう二度と傷つくものかと思う。
だから私は逃げる。
逃げて何が悪い。
誰にも迷惑をかけてない。
逃げて何が悪い。
甘えで何が悪い。
それでもちゃんと立ち向かわなければいけない場所では戦った。
今だって戦ってる。
でもどこか逃げ腰なのだ。
逃げられないことは知っている。
だから震えながら立っている。
歯を食いしばって前を向いている。
でも正面からの風あたりを避けるように身体は半身で、常に逃げることを考えている。
逃げていいという言葉を最近よく目にする。
そのとおりだと思う、というか当たり前のことだと思う。
ただ逃げられない人はいる。
後ろが壁の人や、一歩でも後ろに逃げたら完全に世界から落ちてしまう人。
無責任な言葉ばかりが溢れている。
誰も言葉に責任を取らない。
私の言葉が聞こえない人の言葉を信じるものか。
うっさい、黙ってろ、私は私でがんばってんだよ。
あんたたちからしたら後ろ向きに見えるかもしれないけど、がんばって走ってんだよ。
過去の自分が逃げたせいでこうなってる?
自業自得?
そうかもしれないというか実際そうなんだろう。
でも私は知っている。
私だけが知っている。
あなたががんばって走っていたこと。
闇雲に、転びながら、泥だらけになって、血反吐吐いて走っていたこと。
私は少しだけ大人になった。
少なくとも過去の私よりは強い。
だから心配しなくても大丈夫。
あなたは悪くない。
逃げたっていいんだよ。
私が責任を取るから。