あの日からずっとノルウェイの森に囚われている。

いま、一年ぶりくらいに読み返していて、そんなことを思った。

はじめて読んだのは高校生のころだった。

衝撃を受けたことは覚えているが、それ以外のことは覚えていない。何度も読み返しているせいで記憶が上書きされてしまっている。

19のころ、自分がハタチになるなんて信じられないなと思っていた。

18の次が19で、その次18で行ったり来たりする方が正しいという思いを未だに持っている。

死にたいと思うようになったきっかけも、たぶんこの本だったような気がする。

自殺というものにはじめて触れた。そしてそれを否定していないように思えた。

こんなに美しく殺してくれるなら死んでしまうのも悪くないと思った。死んでもいいのだと気づいた。

喪失ばかりを追うようになった。

小説を書くようになった。

いつか運命の相手が現れるのだと夢想するようになった。

大切なものとは何か、考えるようになった。