日記 私は創作者、くだらないね#1
日記を書く。朝に日記を書くといいとよく聞く。でも朝にいつの日記を書けばいいの? 前の日?
今は夜に書いているけど、なんだか眠くて何を書けばいいのか思い出せない。色々と書きたいことがあったような気がするけど。
思いだした。思いだしたというのは変な気がするけど、私はこれから自分のことをアーティストだとか、創作者だとかと思い込むようにしたということを書こうと思った。なんだか自分にずっと自信がなくて、私がつくってるものなんて、へへ、大したことありませんので、というスタンスで生きてきた。でもあんまりそういうのってよくない。
何と言うか私はこんな人間ですと発信していく必要があるような気がした。最近そういう動画をよくYouTubeで見てる。しかし自分で創作者とかアーティストと名乗ると途端に胡散臭くなるのはどうしてだろう?
創作者なのに何もつくってないと言われないように、これから毎日小説を書くことにした。絵かきが毎日スケッチをするみたいに、毎日何か小説を書く。それは日記の後ろにつけておく(というかもう書いた)。
ルールとしては私は物事をキリよくしたいしたい、キリよく終わらないならやらない、という性格なので、中途半端な形になってもできるだけ毎日書くこと。話のおもしろさにこだわらないこと。
当分は連載のような形で書ていくつもりだけど、どうなるかはわからない。なにも決めていないし、即興のような感じで書いていくつもりだから。今日はとりあえず書けたけど、明日は上手くいくだろうか?
日記と半分半分みたいな感じでやるつもりだったけど、結構疲れるので、やり方は考える。
タイトルがあると何かと便利なのでタイトルをつけた。
くだらないね #1
「私だって愛せるなら、愛してるわよ」と彼女は言った。
僕は持っていたウーロン茶の入ったグラスを置いて目線をあげた。彼女はお通しで来たサラダのたまねぎを箸でつまんで皿の端に避けている。とても器用に、マヨネーズと一体化した爪ほどの玉ねぎまで取り除いている。そうすることで自らに降り注ぐ災難が幾分か軽減されるかのように。
「でも愛せなかったんだから仕方ないでしょう? そんなこと言われたって、どうすることもできないわよ」
「具体的に何がいけなかったの? その、君と恋人が喧嘩することになった原因は?」
僕が尋ねると、彼女は半ば反射的に「知らないわよ」と言った。それから玉ねぎを除き終わった、サラダのマカロニを血色の悪い唇に運んだ。ちらりと覗いた舌がやけに赤く見えた。
「たぶん私が彼女の想像と違かったのね。彼女はたぶん私のことをもっと……わからないけど、素敵な人だと思ってたんじゃないかしら」
「恋人を綺麗にすっかり愛せるような」
「そうね、きっとそんなとこ」
彼女はそう言って、知り合いでも探すみたいにがやがやと騒がしい店内を見渡した。僕もつられて目線を向けたが、特に変わったものはなかった。どこにでもあるような狭い居酒屋だ。隣では大学生くらいの女の子が三人で飲んでいる。少し耳を傾けたが何の話をしているのかまでは聞き取れなかった。
「私だってさびしかったのよ」と彼女は言った。
「ひょっとして浮気でもしたの?」
「そんなんじゃないわ。ただ孤独でさびしかったの」
「恋人がいるのに? 恋人なんて孤独とさびしさを紛らわすためにいるんでしょ」
「あなたにはわからないわよ。あなたレズビアンじゃないもの」
僕は何も言わずに、最後のひとつになった唐揚げを食べた。さっさと料理を片づけて会計を済ませてしまおうと思った。酔いすぎだ。これ以上一緒にいたってろくなことにならない。僕には彼女のさびしさとやらを埋めてやることはできないのだ。
「でもただの喧嘩だろう?」と僕は言った。
喧嘩なんて最後にしたのはいつだっただろう。そもそも僕は喧嘩なんてしたことがあっただろうか。弟とだって年が離れていたせいで喧嘩をした記憶がない。喧嘩をする相手がいるだけ幸せじゃないか、と僕は思った。
「でもさびしいのよ」と彼女は言った。