「すべての、白いものたちの」を読み返してる。初めて読んだときは、遠くてよくわからなかったという感想だったと思う。ハン・ガンという名前を知ってから、どうしてかわからないけどずっと惹かれていて、初めて読んだのが「すべての、白いものたちの」だった。

期待はずれというわけではなくて、私が届いてないだけだと思った。そんななか図書館でたまたま「ギリシャ語の時間」を見つけて手に取った。

この作品は「すべての、白いものたちの」と違って、小説の形をしているので、小説ばかり読んできた私にはありがたかった。「すべての、白いものたちの」はどちらかというと、散文とか詩に近いものだった。

「ギリシャ語の時間」を読んで衝撃を受けた。こんなにも静かで切実な祈りがあるんだと思った。そしてどこまでも孤独だった。

そのまま立て続けに「別れを告げない」「少年が来る」を読んだ。どちらも韓国で実際に起きた出来事をもとにした小説だった。

短編集の「回復する人間」も読んだ。その後「菜食主義者」を読んだ。

「菜食主義者」は3つの中編からなる連作のような形を取っているのだけど、私は最後の作品が好きだった。自らの肉体が持つ、暴力性とか醜さ、グロテスクさみたいなものが書かれている。

「あなたは死んでいくじゃない。そのベッドに横たわって、実は死んでいくだけじゃない。それだけじゃない」

というセリフがすごく印象的に残ってる。

いま「すべての、白いものたちの」を読み返してみると、遠くてよく見えなかったものが見えるようになっていることに気づいた。彼女が見ているものが、まだ霧がかかっているようだけど少しずつ見えてきている。

まずは「すべての、白いものたちの」から読むといいんじゃないかと思う。この作品にはハン・ガンという作家が詰まっている気がする。読みやすいのは「ギリシャ語の時間」と短編集の「回復する人間」かなと思う。

「別れを告げない」「少年が来る」の読む順番を間違えたなと思ってる。ふたつでセットというわけではないけど、作者的には繋がりを持ってると思う。

個人的には「別れを告げない」がいちばん好き。