雑談 私たちは同じ空を見ている
今日のこと。
朝、仕事に行くために外へ出る。空はまだ少し夜の名残があるけど晴れている。毎日晴れていて欲しいと思う。もしそうなったら私の悩みはきっと3割減くらいになる。
ふと空を見上げると月が浮かんでいた。ぽつんと孤独で、どこか儚く霞んでいるように見える。まるで乗り捨てられ、地球の周りをさまよう宇宙船のよう。少し欠けている様子もその雰囲気にぴったりあっている。
明るい時間帯にふと見える月がいちばん好きだ。夜よりもさびしそうに見えるから。
そんなことを思いながら車に乗り込んだ。外は寒いけど、皮膚がピリピリひりつくほどじゃない。フロントガラスの凍り方も今日は控えめ。
窓一面にびっしり凍っているとわからないけど、今日みたいにまばらだと物体の凍っていく様子がわかる。本当に氷の結晶の形で凍っていくのだ。
不思議だなと思うけど、仕事に行かなければいけないので、暖房をつけてガンガン溶かしていく。その間に今日の通勤中に聞く音楽を決める。
あらかた溶けたら車を出発させる。だいたい30分くらいのドライブ。道は空いていて、車内ではバルーンのシャルルが流れている。
いつもと同じ道。もう飽きてきた。たまには違う道を通ろうかと思うのだけど、だいたい上の空で運転をしてるので忘れてしまう。
セブンイレブンにあるバス停でいつもそのことを思いだす。道を変えるなら、曲がるべき道を通り過ぎた。
バス停にはいつも同じ女性が立っている。赤いコートを着てるので覚えてる。寒くないのだろうかと毎回思うし、いつも寒そうにしてる。
そんな彼女が今日はじっと空を見ていた。なにか飛んでいるのだろうかと思う。でもこんな朝から目を引くようなものが空を飛んでいるなら、見てみたいけどよそ見をするわけにはいかない。それに私の背後の空を彼女は見ていた。
バス停を通り過ぎてから「月だ」と思った。彼女はきっと月を見ていたのだ。方角的にも一致してる。
なんだか村上春樹の1Q84みたいな話だなと思う。バス停には他にも人がいたけど、月なんて誰も見ていなかった。
私たちは同じ月を見ている。つまり同じ世界を生きている。
***
最近、日が伸びたような気がする。職場を出たとき今までは真っ暗だったのに、今日は夕暮れが見れた。
帰りの車からマジックアワーみたいに綺麗な空が見えた。ただ、例のようによそ見をするわけにはいかないから、すぐに視線を正面に向ける。
すると視線の真ん中でキラッと何かが光るのが見えた。それはすぅっと、まるで涙が頬を伝うみたいに落ちて消えていった。
「流れ星だ」と思う。
流れ星を見たときって、いつもあとから気づく。なにか光るものを見た、と思ってから、あれは流れ星だったのかもしれないと思う。
でもあまりに一瞬の出来事だし、周りには誰もいないから本当にあったことなのか不安になる。これって流れ星あるあるだと思う。
こんなときどうしたらいいか、私はすでに解決策を知っている。ズバリ、ツイッターで「流れ星」と検索をかければいい。そうするとそれが見間違えじゃなければ誰かしらが「流れ星を見た!」とつぶやいている。
案の定、ツイッターには私と同じように流れ星を見た人がいた。私が見たものはやっぱり流れ星だったんだ、と思う。
私と同じ世界に生きて、私と同じ空を見てる人がいる。その事実にちょっぴり感動した今日のこと。