優しい人間になりたいと思うと同時に、優しい人間なんて微塵も信用したくないとも思う。優しさを最大の美徳のように話す人がいるけれど、優しさは技術であり、見返りのある打算的な行動に思えてならない。

正直優しくされたって戸惑うだけだ。放っておいてくれと言いたいけど、どうしようもなく感謝してしまう自分の弱さがときどき嫌になる。そういう他人の優しさを利用して生きてきた人生だと自覚しているし、これからもきっとそうなのだろうと思う。

自らの弱さを、別の弱さで表面的に覆い、ほんとうの弱さから目を背ける。その弱さと弱さの間にはプライドが挟まれていて、私は弱いふりをしているだけだと自分で自分を偽る。世界中の全員を見下すことでやっと生きられている。

お前はいつ孤独に負けたんだ。孤独でないお前に価値はあるのか。他人に価値を見出してもらおうとしている。価値は自分で見出すもの、もしくは見捨てるものだろう。

人と話すたび条件反射のようににこにこ笑うだけの人間を誰が愛してくれるだろう。そんな愛など誰が欲しいだろう。優しさですらない笑顔を貼りつかせて一生生きていくのか。

透明になりたいと思うのは現実逃避でしかない。からっぽは決して透明ではない。

愛されたいと思うことは悪なのだろうか。愛されることを願うたび、自分がなくなっていくような気がする。持っているものを全て捧げてからが本番なら、私はいつまでもスタートラインにすら立てないのかもしれない。

孤独でいたい。孤独でいたいのに、楽して手に入れた孤独はその程度の孤独でしかない。触れるだけで点灯するデスクライトの光で簡単に照らせるような闇でしかない。

いつから明るいところを好むようになってしまったのか。

誰か私を殺して。私もあなたを殺せるよう努力するから。